アマチュア無線を楽しむためには、2つの免許が必要です。1つは、無線設備を操作するために必要な免許で「無線従事者免許」といいます。もう1つは、無線設備に与えられる「無線局免許」と呼ばれる免許です。
「無線従事者免許」
車に例えるとわかりやすいのですが、車を運転するためには「運転免許証」が必要なのはご存じかと思います。無線設備を操作するためには、車でいうところの運転免許である「無線従事者免許」が必要です。一口に無線従事者免許と言っても様々な種類があり、アマチュア無線の設備しか操作できない「アマチュア無線技士」の資格や、アマチュア無線だけでなく業務用の無線設備の操作もできる総合無線通信士や陸上無線技術士といった資格もあります。ここでは業務用の無線従事者資格については説明を省略しますが、アマチュア無線の設備の操作ができる無線従事者資格をお持ちの場合、アマチュア無線技士の資格を取得しなくてもアマチュア無線を運用することができます。
アマチュア無線技士については、第四級アマチュア無線技士(通称4アマ)、第三級アマチュア無線技士(通称3アマ)、第二級アマチュア無線技士(通称2アマ)、第一級アマチュア無線技士(通称1アマ)の4つの種類があり、資格によって無線設備の操作範囲が異なります。例を挙げると第三級アマチュア無線技士以上の資格で認められているモールス通信は、第四級アマチュア無線技士では認められていません。また2アマ以上で認められている10/14MHz帯の運用は3アマ、4アマでは認められていません。1アマでは空中戦電力、いわゆる送信出力は制限がありません(実際には1kW)が、2アマでは200W以下、3アマでは50W以下、4アマでは20W(HF帯は10W)以下の制限があります。手に持つハンディー機と呼ばれるトランシーバーの運用であれば4アマで十分運用ができます。
無線従事者免許は、国家試験に合格する方法と、養成課程を修了(講習会の受講)する方法があり、講習会も集合形式(指定の会場に集まって受講する方法)とeラーニング(オンラインで受講する方法)があります。国家試験のうち、4アマと3アマはCBT方式による試験が行われます。以前は遠方の試験会場まで出向かなければならなかった方も、現在ではCBT方式の試験を実施しているテストセンター(最寄りのCBT試験に対応しているパソコン教室など)で受験することができます(パソコンを利用した試験となります)。2アマと1アマは試験会場に出向いて受験する従来通りの方法となります。いずれにしても、試験を担当する「公益財団法人日本無線協会」に試験の申し込みを行い、受験料を支払い受験します。
一方で養成課程(講習会)については、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会(JARD)が開催しているものが主となりますが、4アマ・3アマ・2アマの養成課程があり、4アマと3アマは集合形式とeラーニングの両方、2アマはeラーニングのみとなります。eラーニングを受講した場合、最後の修了試験はCBT方式となり、4アマ、3アマの国家試験と同様に地元のパソコン教室などで受験します。4アマ、3アマの講習会は、日本アマチュア無線振興協会(JARD)によるものQCQ企画という会社でも集合形式やeラーニングによる講習会を行っておりますので、ご覧ください。
【国家試験合格】→【総合通信局に無線従事者免許交付の申請(自身で行う)】→【免許の発行・交付】
【養成課程修了】→【総合通信局に無線従事者免許交付の申請(講習会の主催者が行う)】→【免許の発行・交付】
「無線局免許」
無線局免許は、車でいうところの車検証にあたるものです。車では車検の基準を満たすことが確認できた場合に車検証が交付され、車のナンバーも車検証に記載されています。無線局の場合も、その無線設備が法令に定める基準を満たしているかどうかを確認し、問題ないと認められる場合には無線局免許状が交付され、無線局免許状の指定事項の一つとしてコールサイン(呼出符号、識別符号ともいう)が記載されます。このコールサインを使って世界のアマチュア無線家と交信できるのです。申請時に特に指定していなければ5年間の免許が受けられ、年間300円の電波利用料を払うだけで運用し放題となります。
(無線局免許の申請の流れ)
①無線従事者免許の取得(国家試験合格または養成課程修了(修了試験の合格))
②無線設備を購入する(技適マークの付いた新スプリアス基準対応の無線機だと手続きが簡単です)
③無線局を設置する場所(設置場所・常置場所)地域を管轄している総合通信局(沖縄は総合通信事務所)に無線局免許の申請を行う
④審査完了して無線局免許の発行(免許状が電子化されているので、書面で申請を行った場合以外(電子申請)で申請を行った場合には免許状(正確には免許情報)の交付はありません。
⑤運用開始
「各種免許の手数料と電波利用料について」
無線局の免許を申請するためには新規開局時(無線局免許申請)の申請手数料が必要です。
免許申請時に特に指定をしていなければ、5年の期間の免許が与えられます(免許の日や有効期間は免許状に記載されています)が、免許の期間の満了日の6か月前から1か月前に免許の更新手続き(再免許)が必要で再免許手数料が必要です。
アマチュア無線局は年間で300円の電波利用料が必要です(指定の期間前納することもできます。免許申請時または再免許申請時には同時に申請することが可能です。それ以外の場合は改めて前納申出を行う事によって指定期間の電波利用料を前納することができます。
各種申請(免許申請、再免許申請、変更申請)は書面(紙)での申請のほか、電子申請(マイナンバーカードを利用、またはEメールとパスワードによるアマチュア無線専用の手続き)も可能です。